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濱口桂一郎「新しい労働社会」


最近になってやっと図書館で借りることができた。著者はブロガーとしても有名で昔ここからトラックバックを送ったら普段ありえないアクセス数になったりした。かなり昔の判例とか現存してもほとんど知られて無さそうな労組による労働者供給事業の話が出てくるあたりはさすがに専門家が書いた本という感じがする。
序章は日本型雇用システムがテーマ。昔誰か(森永卓郎だったか?)が日本の企業は採用する時にどこに配属でどんな職種か決めずに人事部が一方的に決めて、入ってからもそれが続くのは異常と言っていて共感した覚えがあるが、解雇を防ぐために仕事のあるところへ人を送り込む必要があると考えれば理にかなっているのかもしれない。リストラされた中高年が面接で課長ができますと言ったという笑い話があるようにゼネラリストはできてもスペシャリストは作れ無さそうだが。
第1章は長時間労働について。名ばかり管理職やホワイトカラーエグゼンプションといった時事テーマから入って、日本には三六協定さえ結べば労働時間に制限は無い(!)事や序章と同じ構図でいつも残業があればそれを減らすだけで一気にリストラまでいかずに済むようになっている事を指摘しつつ労働時間の規制を求めている。その事によってこれまで(主に男性の)正社員が負っていた過重な責任を減らしてそれと引き換えの解雇されにくい保護も減らして非正規との格差をなくすという構想のようだ。長時間労働については、この章ではないが日本では人事査定が主観的なものだから長時間残業して意欲があるように見せる必要があるという指摘があって日本人の勤勉さに理由を求めるような運命論的なものよりは希望を感じさせた。
第2章は非正規労働について。偽装請負や派遣労働への規制といった問題にはマスコミでよく言われるような意見と違った立場で書いている。製造業派遣や登録型派遣の禁止、派遣を一部業務以外禁止だった昔の法律に戻す等には反対のようだが、現状でいいというのではなくいくつか改善案を出している。偽装有期労働という言葉で解雇規制をする抜ける目的で有期契約を何度も更新することを批判しているが、雇い止めされた労働者の救済策として金銭による解決をすべきというのは正社員の解雇規制が残ったままでは不平等に感じた。しかもその要件として一定期間を超えた契約ということなので、派遣を3年続けたら直接雇用という法律のように負担を嫌ってその直前に雇い止めにならないかという不安もある。その他にEUが採用しているという期間比例原則が紹介されていてそれによれば非正規でも正社員の初任給や定期昇給の最低ラインくらいは確保されるらしい。初めて聞いたがこれは必要だろう。よくスーパー等でパートが店長になった例がマスコミに出たりするけど新入社員より高い給料をもらっているのかは報道されない。どうなっているのか?またEUのものとして有害危険業務への派遣が禁止されていることも紹介されている。
第3章は「働くことが得になる社会へ」という副題がついていてワーキングプアからすればまさにその通りと言いたい。アルバイトするのは学生や主婦だったからそれで生活費をまかなう必要が無かったせいでこれまで最低賃金が低かった事、そして中高年正社員が実績以上の給料で家族を養っていることがその前提になっている事が書いてあった。その後

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ワーキングプアという最低の身分にいた者です

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