FC2ブログ

渡部伸「中年童貞」

帯に「少子化問題は童貞問題である」にでっかく書いてあったのが面白くて借りてきたけど、図書館の窓口に持っていくのは正直恥ずかしかった。第一章は統計を引用して中年童貞がこんなにいる!という内容でつかみみたいなものか。
面白いのは次の第二章で「全国童貞連合」の会員と対談している部分。童貞を捨てる必要は無いと主張する「保守派」や性欲自体を無くしてしまおうという「解脱派」という人が出てくる。最初に出てくる矢野さんというのはネオニートの本にも出ていた人だ。恋愛の快楽は二次元で十分得られると「電波男」みたいなことを言っているので調べたらこの本の方が後だからもろに影響を受けたのかも。でも、「恋愛なんてできなくてもいい」と誰かが声高に叫ぶ必要がある、そうじゃないとつぶれる人間が出てくる。僕は非モテを救いたいという発言を読むと何だかすごい人のような気がしてきた。
次は大新聞社に勤めているという朝田さんで、コストを考えれば恋愛より風俗のほうがいいと言っているけどなぜか童貞のまま。バブル崩壊後の90年代は金ではなくセンスの時代になって、センスなんて簡単に手に入るものではないからさらにハードルが上がったという話になっていって、これはそうかもしれない。一昔前はホットドッグプレスとかのマニュアル本があったけど今はそういうものを読む行為自体が痛いことになってしまって手がかりも無い時代になった気がする。あと、「デトックス、ヨガ、岩盤浴、マッサージ・・・くっだらねえ。男にしてみればそんなのは女が忌み嫌うアキバ系と同じなんだよ!」「そういうものに触れる自分に酔うナルシシズムが嫌ですね」これがスイーツ(笑)という言葉のルーツかもしれない。この本が出た時期の方がスイーツ(笑)が流行った時期より早いみたいだし。
最後は解脱派の梅本さん。ネットで女性ホルモン剤を買って飲んだら性欲が治まったけど、胸が膨らんできたから止めたそう。これはもっと違う薬でどうにかならないだろうか?海外で性犯罪者に性欲を抑える薬を処方するという話を聞いたことがあるけどそういうものとか。そして性欲を無くしてみてものすごく男性差別が激しいとわかったそうで、世の男性が怒りの声をあげないのは性欲を成就させようとしているからと指摘している。これは真実の一面を言い当てているけど、強調すると逆に非モテだから男性差別について騒ぐんでしょ?と揶揄されかねない諸刃の剣だ。
この章に出てきた人たちは極端だけど、そうでなく童貞を捨てたい「改革派」の著者、渡部もどうなんだろう?と思った。恋愛には人間としての成熟や人格形成に向けたよきものがあるなどと書いていて、そうなると出来ない自分(たち)は駄目という劣等感を産んで自らを傷つけることになってしまうんじゃないか。
第三章はナンパ塾や行政による出会い支援、ネット上の結婚仲介サイトを紹介しているけど、ナンパ塾は1回3万円かかり、仲介サイトの会員資格には男性は安定収入があることなどとある。第二章のアンケートでは童貞の69%が年収200万円以下と答えているのだからこれを読まされたところで出来ない人の方が多いだろう。企画として無理が無いか?
第四章は中年処女がテーマで最後はラブコールみたいな感じになっていた。それはいいとしても、「男性より苦しい中年処女」という見出しにはちょっと引っかかる。男性は仕事や趣味に生きているという形で自分に誇りが持てるなどとあるけど、女性だってできるだろうし、男性の性欲の強さについてこの章で書いているのだから成就できない辛さだって男性の方が強いと考えるのが筋だろう。これぞ性欲を成就するために媚びている状態じゃないか?
第五章は室井祐月、恋愛投資家(って何だ?)のフェルディナンドヤマグチと渡部、朝田さんの対談。最初は言い合いをしていた室井と朝田さんが恋愛は男にとってコストがかかりすぎること、マスコミが恋愛してないとおかしいような報道をするはおかしいという点でなぜか意見が一致したのが面白かった。ただ、保守派の少子化に対する提言として「もてる男女で多夫多妻制にして子供を増やせばいい」というのがあるそうだがそれは全く賛成できない。子供を増やすだけならともかく、絶対子育てに税金で補助をよこせと言い出すに決まっているから。大新聞社の社員とかデイトレで稼いでいるとかで金に不自由してないからそんなの気にしないのだろうけど、そうでない人間にとってはたまらん。赤川学の言うように特定のライフスタイルが優遇されてはいけない。その後は渡部の恋愛相談に室井、ヤマグチが乗って励ますような展開。自己主張すると言い合いになるけど、へりくだって下の立場になると風当たりは弱まるってことだろうか。渡部個人の相談で一般論になってないからどうかとも思ったけど、次にくらべればまだまし。
第六章は渡部の昔の失恋体験談が延々と続く。著者個人に興味があるわけじゃないから読んでどうしろというのかと思った。何度も自慰をネタにしているのには同性としても引くくらいで、わざともてなくなろうとしているように見える。この本全体の感想としても、個人的なことを書くのか中年童貞の全体像を描くのかはっきりしないなという印象。学者やプロの物書きじゃないから仕方ないといえばそうだけど。
関連記事

コメント

非公開コメント

フリーエリア
最新記事
プロフィール

northetts2

Author:northetts2
ワーキングプアという最低の身分にいた者です

カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR